コロナ禍の影響でオンラインで開催されたタウルス・ワールド・スタント・アワード2021。
今年も選りすぐりの命知らずのスタントシーンがノミネートされ、コロナの影響下にあっても映画作りの素晴らしさを教えてくれました。
2021年の世界スタント賞の受賞作品をご紹介していきます。
1.世界スタント賞2021受賞作品
今年はコロナの影響で、ノミネート作品の対象期間と応募条件が変更されました。
- 2020年1月1日から2021年2月28日の間に上映された作品であること。
- 劇場公開。劇場で公開された作品、または事前に劇場での公開が予定されていたが、ビデオ・オン・デマンドで提供された作品であること。
また、今年はオンラインで表彰式が行われましたので、事前登録しておけば誰でも見れるようになっていました。24時間で動画は非公開になりましたが、みましたか?
さっそく今年の受賞作品と、受賞シーンを振り返っていきたいと思います。
1-1.BEST FIGHT/ベストファイト部門
受賞は「タイラー・レイク -命の奪還-」のこちらのシーンから。
受賞シーンの詳細
予告編にも使用されている、アパート室内での銃、ナタ、拳、熊手を使った激しい格闘シーンです。
タイラーに後ろから蹴られ、そのまま頭から壁の穴の淵に激突するなどみていて痛々しいほどリアルなシーンです。
途中、スープレックスで首の骨を折るシーンは、人形が使われています。
本シーンについて、主演のクリス・ヘムズワースと監督のサム・ハーグレーヴの解説動画がありますので、撮影時の工夫などはこちらからご覧ください。
1-2.BEST HIGH WORK/ベストハイワーク部門
受賞は「テネット」のこのシーン。
受賞シーンの詳細
ビルをウィンチ(巻き上げ機)でサーっとのぼるわずか2、3分のシーンです。
「テネット」は逆回し映像アクションのほうが目立つので、あまり気にならなかったかもしれませんが、このビルの高さは上りで130フィート(約4000m)、下りのシーンで240フィート(約7300m)あります。
その高さを背中のロープ1本で巻き上げるという難易度の高いスタントでした。
1-3.BEST STUNT RIGGING/ベストワイヤーリギング部門
受賞は「ワンダーウーマン1984」のこちらのシーン。
受賞シーンの詳細
ワンダーウーマンがショッピングモールで泥棒を捕まえるシーン。真実の投げ縄を使って泥棒を捕まえたり、人を守ったり、他の階に移動したりと、縦横無尽に移動します。
このシーンをCGだと思ったかたも多いと思いますが、ほとんど実写でした。CGは人を吊るしているロープを消すためだけに使われています。
日本語字幕はありませんが、以下の動画でその撮影現場が詳しく解説されています。
1-4.BEST WORK WITH A VEHICLE/車輌部門
受賞は「バッドボーイズ フォー・ライフ」のこちら。
受賞シーンの詳細
マイクとマーカスが、サイドカー付きのバイクに乗って追いかけるシーン。
追跡してくるバイクを撃って、ライダーが勢いよく激突。その後、ミサイルを避けるためにサイドカーを切り離し。サイドカーはそのまま勢いよく滑ってそのまま安全地帯に激突という一連のシーンです。
サイドカーは自走式に特別に改造されており、ブレーキやアクセルもついていたのだそうです。
このシーンもCGはワイヤーやロープを消すためだけに使われており、そのほかはすべて実写でした。
実写アクションにこだわった本作の魅力は、次の動画でも紹介されています。(日本語字幕なし)
1-5.BEST SPECIALITY STUNT/スペシャルスタント部門
受賞は「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」。
受賞シーンの詳細
ローラースケートのまま、車を追いかける一連のシーン。
車のはねられたり、バイクで牽引してもらって、そのまま車に飛び乗ったり、そのまま車の前に回り込んだりとハーレイ・クインらしいクレイジーさがにじみ出ているアクションですよね。
このスタントは安全性を最優先し、ワイヤーでスケーターを固定し、車とスケーターを同じスピードで走らせるために、安全装置と牽引ケーブルが使われています。
主演のマーゴット・ルビー本人ができるだけ演じていますが、危険なシーンはマーゴット同じ背丈のスタントウーマンが演じるというスタントダブル方式が使われています。
動画は日本語字幕なしです。
1-6.BEST OVERALL STUNT BY A STUNT WOMAN/ベストスタントウーマン部門
こちらも受賞は「ハーレイ・クインの華麗なる覚醒 BIRDS OF PREY」。
BEST SPECIALITY STUNT/スペシャルスタント部門で受賞した同じシーンが、ベストスタントウーマン賞も受賞しました。
1-7.HARDEST HIT/ハードヒット部門
受賞は「タイラー・レイク -命の奪還-」。
受賞シーンの詳細
タイラーとサジュが、もみあいながら落下するシーン。
2階の手すりから一緒に落ちて、約2メートル下の日よけにワンバウンドして、さらに2メートル下のトラックの荷台にぶつかってそのまま地面に着地というハードスタント。このスタントには、ワイヤーや命綱などは一切使われておらず、クッションはトラックの荷台と地面のみです。
当然CGも一切使われておらず、唯一使ったのは地面にひいた衝撃吸収パッドの端を消すためだけでした。
圧巻、そして決死のスタントのおかげで迫力満点のシーンに仕上がっています。
この部門の受賞にはクリス・ヘムズワースが感謝のメッセージをTwitterにあげており、一緒に投稿した動画には、肉眼で横からこのシーンを見たリアルな落下映像がみれます。
Quite happy to let the completely insane experts handle this particular shot! Our stunt team risked their lives and pushed their bodies to get some of these shots, and it’s truly incredible to see. The movie wouldn’t have been possible without these guys 🙏💪👍 pic.twitter.com/E79rnkXm1T
— Chris Hemsworth (@chrishemsworth) April 18, 2020
1-8.BEST STUNT COORDINATOR AND/OR 2ND UNIT DIRECTOR/ベストスタントコーディネーター部門
受賞は文句なしで「タイラー・レイク -命の奪還-」のスタントコーディネートをした2人。
どれをとっても異次元のアクションシーンで見応えもありましたね。
映画のレビューは別記事で詳しく書いていますので、良かったら読んでみてください。
2.まとめ
2021年タウルス世界スタント賞の受賞作品と、対象となったシーンをご紹介しました。
CGかと思ったらそうでなかったり、実写化と思えばフェイクだったりと、いい意味で裏切ってくれるのも映画の醍醐味のひとつです。
今年の受賞作品、まだ観ていないものがあればぜひチェックしてみてください。
それでは、また。
See you soon!