こんにちは!橘 右京(たちばな うきょう)です。
弓道では練習前に事故等が起きないよう、必ず決まった方法で神棚を拝みます。実は、神社へお参りをする際も同じ方法がとられます。
二礼二拍手一礼と言われるこの作法ですが、その基本動作となっている礼の種類と意味を理解していないと覚えることはできません。
日本が大事にするべき伝統文化の一端ですので、この違いときちんとした作法は身につけておきたいところです。
礼の種類
あまり知られていませんが、実は礼には2種類あります。立った状態で行う立礼(りつれい)と座礼(ざれい)です。意味は漢字の通りで、座ったまま行うお辞儀と立った状態で行うお辞儀のことです。
神社の参拝含め、現代は立礼をすることがほとんどかと思いますので、立礼について詳しくお話をしていきます。
立礼の種類
立礼、つまりお辞儀のことですが、まず大前提として、首を曲げずに上半身を倒すことであるということを覚えておいてください。
首だけ曲げて行うお辞儀は、本来の役割や意味を果たしておらず、人によっては相手への侮辱行為と受けとられてしまう場合がありますので、注意が必要です。
ではそれを念頭においた上で、礼の種類をみていきましょう。まずは、立礼、すなわちお辞儀には大きく分けて3種類あります。
- 会釈
- 敬礼
- 最敬礼
では、それぞれの意味と使う場面を整理していきます。
会釈
首を曲げずに腰から上を、15度ほど倒す浅い礼のことです。一揖(いちゆう)とも言います。知人とすれ違ったときや、部屋に入る際に行う礼です。
「軽く会釈する」などと表現されることが多いですが、決していい加減にならないようにしっかりと相手の目を見て行いましょう。
敬礼
30度〜45度ほど上体をさげて行う礼です。中礼(ちゅうれい)や普通礼とも言います。目上の人や上司、お客様、取引先など、改まった場面で使用する礼です。
また、挨拶と組み合わせて行う際は、必ず言葉を先に発してから礼をするにようしてください。これは分離礼と言われ語先後礼の精神から来る、最も誠意のある方法だと言われています。
礼をしながら挨拶をすると、ちょうど下を向いて言葉を発することになり、誰に向けた挨拶なのか分からず、誠意が伝わりません。ビジネスシーンで一番嫌われることですので、気をつけてください。
最敬礼
直立の状態から90度上体を倒して行う礼で最高礼とも呼ばれます。最も深い例で、謝罪や冠婚葬祭の際に使います。
また本当に感謝したい際に用いることもでできますが、あまり多用するとおかしいことになりますので、ほどほどにしましょう。
お辞儀の方法だけでもこれだけの種類と意味があります。まずはその意味をしっかりと理解し、適切なシーンで使うようにしましょうね。
では、お辞儀の方法を理解したところで、神社への参拝方法を例にさっそくお辞儀の使い分けの実践を行なっていきます。
ただし、お辞儀の部分のみの説明では礼儀作法の意義を理解することが難しいため、ここでは神社参拝方法の全体を通して解説していきます。
神社にお参りする一連の流れとその意味
これから神社の鳥居をくぐるところから参拝までの流れとその動作の意味をお伝えしますが、神社は神道、お寺は仏教という信仰の違いがあります。これからお伝えする方法は、あくまで神道ですので、間違えないようにしてください。
参道を通る時
神社は必ず鳥居と呼ばれる入り口があります。最近はお年寄りのことを考え、車で乗り入れができる近道が用意されていることが多いですが、できれば一番外側である一の鳥居から入るようにしましょう。
また、鳥居をくぐる際は必ず一礼します。この際に用いる礼は会釈、つまり一揖(いちゆう)です。
そして参道を歩く際は、決して真ん中を歩いてはいけません。真ん中は正中(せいちゅう)と呼ばれ、神様の通り道となっていますからね。行きも帰りも端を歩きましょう。
手水舎(みずや)
本来参拝する際は肉や魚、飲酒などを断って身を清める精進潔斎(しょうじんけっさい)や、川・海等で罪や穢(けが)れを洗い流す禊(みそぎ)を行わないといけません。
実際にそうしないと参拝できない時代がありましたが、今はそうはいきません。その代わりに手水舎(みずや)と呼ばれる場所で身を清めます。
手水舎(みずや)は御手洗(みたらし)とも呼ばれており、ここにも決まった作法があります。
【御手洗の使い方】
- 右手にひしゃくを持って水をすくい、まず左手に水を掛ける。
- 左手に持ち替え、右手に水を掛ける。
- また右手に持ち替え、左手をおわんじょうにして水を受ける。
- その水で口をすすぐ。
- 残った水を流して、ひしゃくを元の位置に戻す。
参拝
清めが終わったらいよいよ参拝を行います。
一般的には二礼二拍手一礼(二拝二拍手一拝)が基本作法となります。これは神社の参拝以外にも使える作法になりますので、身につけておくといいですね。
一連の動作は以下の通りです。
- 一揖(いちゆう)
- 賽銭
- 鐘をならす
- 二礼二拍手一礼
では、一つずつ詳しくみていきます。
一揖(いちゆう)
軽い会釈です。これをやらない人もいますが、丁寧な礼儀作法には含まれてきます。
賽銭
賽銭箱に気持ちを入れる行為です。決して投げないように気をつけてください。
また、よく金額のことを聞かれますが、ハッキリ言っていくらでもいいです。気持ちですからね。
それで縁起のいい数字などもあるようですが、それはまた後日詳しくお話します。
鐘をならす
鐘があればそれをならします。鐘をならす行為は、神様に自分がきたことを知らせる意味がありますので、力いっぱいならしましょう。
二礼二拍手一礼
「二礼」:神前に向かって、二回最敬礼をします。90度上体を倒す最も深い礼です。
「二拍手」:両手をのばして手のひらを合わせてから、右手を少し後ろ(右人差し指が左手親指の付け根にくるぐらい)へ下げて、2回手を打ちます。再び、両手をあわせ揃えて、願い事を強く念じた後に手をおろします。
「一礼」:再び最敬礼を行います。
二礼の際に、2度目の礼を最敬礼ではなく、45度ほど倒す敬礼をするように教えるところもあるようですが(私もそう教わりました)、これは礼儀作法の流派による違いのようですので、どちらでもいいようです。
礼法は最低限身につけておく教養
ここまで、お辞儀の種類と神社での参拝方法をお伝えしましたが、いかがでしたか。
今回は神社での参拝を例にご説明しましたが、まずは基本の「二礼二拍手一礼」を覚えましょう。神事ごとに必ず使われる作法になります。
日本は礼節を重んじる国ではあるものの、時代が変わりこのような作法が求めれる場面が減ってしまいました。
しかしだからこそ、しっかりと覚え子供たちにも伝えていかないといけない大事な伝統文化だということを、忘れないでおきましょう。